緑茶

日本茶の代表的な種類とその特徴とは?産地別に解説

2022年1月18日

古来より親しまれ、現在でも日本人の日常に馴染み深い日本茶には、多様な種類があります。
茶葉の生産地域、製法などによって味わいや香りに大きな違いがあるのが、日本茶の魅力のひとつです。
ここでは生葉からの一次加工品である「荒茶(あらちゃ)」の生産量が多い都道府県順に、地域ごとの代表的な茶葉の種類と特徴をご紹介します。

【静岡県】日本を代表する茶産地

日本茶の産地といえば静岡県を思い浮かべる人が多いでしょう。

静岡県は、作物統計調査では生産高1位を常に獲得してきており、また全国の茶園面積の約40%を占める、まさに日本一の日本茶の生産地と言えます。
静岡県は地域ごとに気候条件が異なるため、各地で茶葉の味わいにも大きく違いがあります。

静岡県の茶畑から眺める富士山

本山茶

静岡県のお茶の中で最も古い歴史を持つ「本山茶」は、静岡市本山地区の山間部で生産されています。
ミネラル豊富な大地と水に恵まれて育った茶葉は、フレッシュな香りと豊かな旨味に恵まれています。

掛川茶

静岡県掛川市で生産されている「掛川茶」は、静岡茶の中でも有名なブランド茶の一つです。
通常の煎茶より蒸し時間の長い深蒸し茶のため渋みが抑えられ、深いコクとまろやかな甘さが特徴です。

【鹿児島県】太陽と大地の恵みが育む茶葉

2019年にお茶の産出額が252億円となり、静岡県を抜いて全国1位となった鹿児島県。
以降もその勢いは衰えず、日本を代表する茶産地としてみなされています。
特に南九州市(頴娃・知覧・川辺)の生産量は市町村別で日本一であり、その品質の高さからも一目置かれています。

豊富な日射量が茶葉の渋みと甘みを増加させ、バランスの良い濃厚な風味が特徴です。
中でも高級ブランド茶の一つとして知られる「知覧茶」は、火山灰が堆積してできた南九州市の肥沃な土地を生かして栽培されています。
知覧茶には豊富な品種があり、それぞれ異なる香りと味わいの違いが楽しめます。
ここでは知覧茶の中でも代表的な品種を紹介します。

鹿児島県知覧町の茶畑から見える開聞岳

ゆたかみどり

九州地方の最南端に位置する、鹿児島県南九州市で最も多く栽培されているのが「ゆたかみどり」という品種です。
豊かな旨味と渋みがありながら、爽やかな香りが楽しめるお茶として人気があります。

やぶきた

日本での作付面積の約8割を占める代表的なお茶である「やぶきた」は、栽培しやすく高品質な茶葉として知られています。
きれいな緑色が出やすく、飲みやすい味わいが多くの人に親しまれている理由です。

【三重県】かぶせ茶の名産地

「伊勢茶」ブランドで広く知られる三重県。
茶栽培に適した温暖な気候と雨量の多さが特徴の地域で、お茶の産地としては「北勢地方」と「南勢地方」の2つに大きく分かれます。

北勢地方はかぶせ茶の産地として有名です。
かぶせ茶とは、摘み採る前の茶葉に布を被せて栽培されるお茶のことです。
摘採前の茶葉が浴びる日光を遮ることで、渋みや苦味を抑えます。
一方で南勢地方は、深蒸し煎茶の栽培がさかんです。

三重県度会の茶畑風景

度会(わたらい)茶

古くから人々に親しまれている「度会茶」は、まろやかで豊かな香りが特徴です。
茶園がある度会町は宮川上流に位置し、清流と川霧に恵まれていることから、良質な茶葉に成長します。

【宮崎県】日本一の深炒り茶の産地

鹿児島県と同じく、平坦地では機械による大規模農業を行なっている宮崎県。
全国第4位の生産量を誇り、年々増加傾向にあります。
江戸時代に京都・宇治から蒸製製茶法が伝わり、広まったと言われています。
近年では栽培された茶葉は「みやざき茶」としてブランド統一される傾向が強まっています。
また、日本一の釜炒り茶の産地としても知られています。

宮崎県の山間地にある茶畑

釜王

釜炒り茶の代表的なブランド「釜王」は、厳しい認証審査を経てブランドとして認定されている希少な茶葉です。
茶葉を炒ることで酸化を抑える釜炒り茶は、独特の香ばしい香りが漂います。
蒸し製のお茶とは異なる透き通った黄金色と、すっきりとした味わいが特徴です。

【京都府】ブランド茶・宇治茶の生産地

京都府は、静岡茶、狭山茶と並んで日本三大茶と言われる宇治茶の生産地として有名です。
鎌倉時代に日本初の茶園が開かれた土地とも言われており、茶の歴史上では重要な土地でもあります。
宇治近郊、和束町や山城地域一帯は、玉露などの高級茶の産地として知られています。

京都宇治の茶畑

宇治茶

京都の代表的なお茶の品種である宇治茶。
江戸時代に宇治田原町の茶農であった永谷宗圓が発案した「手揉み製法」により生産されています。
黄色味の強い黄金色で、口に含んだ瞬間は渋みを感じますが、徐々に甘さに変化し、後味はすっきりとしているのが特徴です。
味の大きな変化と、上品な風味を楽しむことができます。

まとめ

日本茶の生産量が多い都道府県と、それぞれの地域で生産されるお茶の品種の特徴を解説しました。
同じ日本茶でも、種類によって製法も味わいも大きく違っていることがお分かりいただけたと思います。
お茶には体に良い栄養素がたくさん含まれており、リラックス効果も高い飲み物ですので、毎日の食卓に欠かせないという人も多いはず。
ぜひこの機会にいつもとは違う茶葉も試してみてはいかがでしょうか。

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